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デニム生地の品質

今回はデニム生地の品質についてのお話です。

プロフィールにもありますが、私は自動車部品の工場で働いています。自動車部品には品質を管理する部門があったり、何かと品質が大切です。

では先ず、品質とは何でしょうか?

品物の質が高い=高品質ですが、質が高いとはどういうことでしょう?

質が高い=良い物と考えている方が多いと思いますが、良い物とはどんなものでしょう?

ものづくりをすると、出来上がった製品には基準値に対して必ずバラつきがあります。このバラつきには法則があって、標準偏差と言う値のグラフを描きます。標準偏差とは製品のバラつき基準値の中央に寄っていて、最大値、最小値は数が少ないと言うグラフです。もし仮に出来上がった製品がこの標準偏差のグラフを描かない、または、大きい値、小さい値に偏っていた場合、工程能力が出ていないと言うことで、その製品は質の高いものと言うことは出来ません。

つまり、質の高い物とは、バラつきの少ないもの。

簡単に言うと、同じものが沢山できることが高品質と言うことになります。

これをデニム生地で見てみましょう。

2017年に閉鎖してしまったコーンデニム、ホワイトオーク工場(旧コーンミルズ社)がLevi'sにデニム生地を納めていた最も歴史のある会社でした。良い意味でも悪い意味でも米国製なので、バラつきは大きめです。

501の生地ですが、ムラがあります。

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同じ501のリジットでも個体によって若干の色の違いもあります。

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ジーンズやジャケットを縫製するのに先ず、デニム生地の色、裁断の部位など生地選別を行わなくてはいけません。その後、裁断、縫製で完成しますが、やはり選別が大変で歩留まりが変わってきたり、B級品も出易いそうです。

コーンデニムホワイトオーク工場の閉鎖、時代の変化によって生地の仕入れ先も変わってきました。Levi's社では現在、メキシコ、中国製のコーンデニム社、アルビンド社、カイハラ社などと取引があるそうで、この中でも日本のカイハラ社はLVCなどにも生地を卸している優秀な会社です。

では、カイハラ社の何がすごいかと言うと品質です。生地に欠点がないので、どんどん裁断、縫製ができるそうです。確かにユニクロのセルビッジジーンズはカイハラ社のものですが、どれを見ても同じでその品質はピカイチです。

カイハラ社の生地が凄いのは分かりましたし、日本的な品質だとは思いますが、私、個人的にはやはり、コーンミルズ時代のムラのあるデニムがアメリカ的でとても好きです。完璧を求めるなら日本製のLVCだと思いますが、ムラや色の違い、若干の寸法違い、縫い方の不均等など、個体差の大きいものを良さだと思える方は、ヴィンテージ向きだと思います。

私もその昔、90年代のスニーカーブームの時にヴィンテージスニーカーのサイズが左右若干ですが、違いがある製品を見せられて、これがヴィンテージの良さだと説明されました。その時はその良さが分かりませんでしたが、今ではその良さがすごく分かるようになりました。コーヒーの味と同じで年を重ねるとその味の良さが分かるようになるものです。